駐在員から現地採用社員へ。 ー現地採用後の初めてのタックスリターンで大失敗・・・-

アメリカに来ると、日本では簡単に出来ていたことが、急に難易度が高くなった、、と感じることは多いと思います(というかほとんどのことがそうですよね)。

言葉の問題はもちろん、制度が違ったりすることで頭を悩ませることもたくさんあります。

駐在員時代は考えなくても良い身の回りのことを考える必要が出てきた。という方もいると思います。

そのひとつ、タックスリターン(確定申告)は私が現地採用として転職してから大変苦しめられたものの一つです。

駐在員から現地採用に転籍や転職をしたときに気を付けておきたいこと、私の失敗談をお伝えします。

 

 

会社にもよりますが、基本的には駐在員は現地採用社員と比べて良い待遇を受けていることがほとんどだと思います。私もその一人でした。

会社の命令で海外に出ているわけですから、ある程度守られているのは有りだと思います。その代わり、大きな責任を負って赴任するわけですから、周りに「大した仕事もしてないくせに、いいご身分ですな~」などと言われないように必死に働くべきですね。

 

ちらつく帰任辞令から目を背けつつ、アメリカで長く働きたいと思っていたところに、幸運なことに現地採用での転職のお話をもらいました。

わかっていたつもりではありましたが、それは「帰任辞令」ということから解放されると同時に駐在員時代に享受していたさまざまな「待遇」を失うこととなりました。

駐在手当、赴任先での保険・家賃・クルマ等の補助、2年に一回の一時帰国の航空券代、などなど。。

私の場合は転職したことで、駐在員時と比べて、最初は35%-40%の収入減でしたが、妻も労働許可証を取得して働き始めて生計を立てていました。

 

そこで私の見通しが最も甘かったもの、、、それが転職時の最初のタックスリターン(確定申告)です。

アメリカのタックスリターンはアメリカで得た収入だけではなく、全世界で得た収入を申告する必要があります。私は駐在中は給与の一部を日本円で受け取っており、退職金も日本円で受け取りました。

駐在員待遇から転職先の現地採用社員の給与体系となり、給料や待遇が大幅に下がりました。

転職先での給与から、毎回の源泉徴収額を設定し、それなりに支払っていると思っていました。

年が明け、タックスリターンに挑もうと、早めにエージェントに依頼し、「何ドルくらい戻ってくるかな?」などと余裕かまして待っていました。

しかしそのエージェントも随分とのんびりしており、納税期限の前日の午後にようやくメールが来ました。その内容に私は愕然としました。

 

「納税額が12,000ドル足りません。明日までに12,000ドルの小切手を用意してください」

 

仕事中でしたが一気の血の気が引きました。日本円にして約120万円、、、しかも明日まで。

 

「明日までに120万円用意しろ」って振り込め詐欺よろしく、ものすごい要求でした。

 

何かの間違いではないか?と今まで毎年ほぼ全く見てこなかった確定申告書類に慌てて目を通し、エージェントが作った書類をあちこち指摘したものの、「最終的に8,000ドルの追徴課税」という結論となりました。

12,000ドルではないものの、それでも8,000ドルを明日までに、、、

支払わなければならないので、振込ではなく、小切手郵送という形にして、現金化されるまでの時間稼ぎをして、その間に何とかお金を工面(両親に借金)しました。

 

両親に電話した際

「急に金が必要になった。お願いだから明日までに8,000ドル分を振り込んでください」

と、こちらも振り込め詐欺さながらのお願いとなってしまいました。

 

私が転職したタイミングが6月だったので1-6月までは駐在中の厚遇給与体系、7月から現地採用の厚遇無しの一般給与体系。

駐在員時代も、もちろんそれに見合った源泉調整をしていましたが、一般給与体系を基に源泉していたところで、年間通した給与の割に納税額が少なかったこと。

そして一番痛かったのは、退職金の源泉徴収をしていなかったこと。

日本非居住者であったため、日本での納税義務は無いため、退職金は満額受け取りました。先ほど書いた通り、アメリカは全世界収入が課税対象のためこの退職金も課税対象となります。それをタックスリターンのために用意していなかったことも失敗でした。

 

対策としては、節税効果のある年金制度Traditional IRAにお金を入れてその年の課税所得額を減らすことでしたが、当時はそのような知識も時間もなく、泣く泣く8,000ドルの追徴分を支払うこととなりました。

Traditional IRAについてはまた別途解説しようと思います。

 

ここから学んだことは

・自分の得たお金は必ず税金が絡むということを肝に銘じておくこと。

駐在員だった私は納税については会社任せで疎かったため、このような失敗をしてしまいました。

・何でも人任せにしてはならないこと。 

日本のようなきめ細やかなサービスを期待することは出来ません。自分の求める答えを用意して何事も挑むべきです。 "費用払ってあとは「良きに計らえ」"は通用しないことが多いです。たとえ、日系企業だったとしても、です。

 

エージェントに早め依頼したこともあり、何かあれば連絡くれるだろう、と思ってほぼ丸投げしてしまったことも反省です。

その時はエージェントを恨みもしましたが、結局自分で知っておかないと痛い目に合うと痛感しました。

ということで、自分の所得に対する納税額、源泉徴収のバランスを考えて常に準備はしておきましょう!!

 

皆様もお気をつけて!

 

 うさ